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特集!「3i/atlasとは?」


3i/atlasとは? 遠くから来た「何か」


■ はじめに:3I/ATlASという名前がもたらすざわめき

「3I/ATlAS」という符号のような名前を聞いて、胸がざわついた人は少なくないでしょう。

1I/オウムアムア、2I/ボリソフ――これまでに確認された恒星間天体は、どちらも人類の想像力を大きく刺激しました。そしてもし「3番目」が現れたなら? その名に「ATLAS(小惑星地球衝突最終警報システム)」が含まれているだけで、どこか物騒で、同時にロマンを感じさせます。

それは単なる氷と岩の塊なのか。 それとも、はるか彼方の文明が送り出した探査船なのか。 あるいは人類の理解がまだ追いついていない“全く別の何か”なのか。

この記事では、3I/ATlASをめぐって語られうる「面白い話」「怖い話」「びっくりする話」を、天文学的な考察とともに読み物としてまとめてみたいと思います。

■ 第1章:恒星間天体という存在そのものの異様さ

まず前提として、「恒星間天体」がいかに異様な存在かを確認しておきましょう。

私たちが普段目にする彗星や小惑星のほとんどは、太陽系という“内輪”の住人です。生まれも育ちも太陽系。軌道も太陽に縛られています。

しかし恒星間天体は違います。

それらは別の恒星系で生まれ、何らかの力学的事件――巨大惑星との遭遇、恒星の移動、連星系の不安定化など――によって弾き飛ばされ、銀河を漂った末に、たまたま太陽系をかすめただけの「通りすがり」です。

想像してみてください。

何億年、あるいは何十億年もの間、星と星の間を孤独に旅し、たった一度、私たちの太陽のそばを通り過ぎる物体。 それを人類が観測できる時間は、せいぜい数か月から数年。

その一期一会の出会い自体が、すでに物語なのです。

■ 第2章:3I/ATlASが「普通でない」と言われるとき

もし3I/ATlASが発見されたと仮定しましょう。

話題になるのは、決まって次のような点です。

・軌道が極端に双曲線的(明らかに太陽系外起源) ・彗星のようなガス放出が見られない、または奇妙 ・形状が異常に細長い、あるいは平たい ・自転(タンブリング)の仕方が不自然 ・加速や減速が重力だけでは説明できない

これらは、かつてオウムアムアで実際に議論された特徴でもあります。

天文学的には、これらの多くは「未知の自然現象」で説明できる可能性があります。 例えば、水ではなく水素や窒素の昇華。 あるいは極端な形状を持つ自然天体。

しかし人間の想像力は、必ず別の方向へも滑り出します。

「もしこれが人工物だったら?」

■ 第3章:宇宙人の宇宙船説――いちばん有名で、いちばん危うい仮説

3I/ATlASが宇宙船である、という話は、面白くもあり、危うくもあります。

この仮説の魅力は単純です。

・恒星間を移動できる文明が存在する ・その文明は無人探査機をばらまいている ・太陽系は、たまたま観測対象のひとつだった

もしそうだとしたら、3I/ATlASは「偵察機」「観測プローブ」「ビーコン(信号装置)」かもしれません。

怖い想像をするなら・・・

・地球の位置を特定するための前哨 ・知的生命の有無を調べるスカウト ・あるいは、もう役目を終えた“宇宙の漂流ゴミ”

もっと怖いのは、「こちらが気づかれていないと思い込んでいる」可能性です。

こちらは必死に望遠鏡を向け、スペクトルを解析し、議論を戦わせている。 一方で向こうは、何百万年も前から銀河地図を持ち、地球の大気組成や電波文明の歴史を把握している――そんな非対称性を想像すると、背筋が少し冷えます。

■ 第4章:派遣された探査船という、少し現実的なSF

宇宙船説の中でも、比較的“現実的”に語られるのが「無人探査船」仮説です。

人類自身がすでに、似たことを考え始めています。

・ブレークスルー・スターショットのような超小型探査機 ・恒星間をゆっくり漂う長寿命プローブ ・自己修復・自己進化する観測装置

もし他文明が人類より数千年、数百万年進んでいたら、恒星間に探査機をばらまくコストは、私たちが気象衛星を打ち上げる程度の感覚かもしれません。

その場合、3I/ATlASは「特別な存在」ではなく、ただの一機。

怖いのは、その“普通さ”です。

つまり、 「特別に地球を狙ってきたわけではない」 「私たちは、観測対象リストの一行にすぎない」

この冷淡さは、侵略よりも静かな恐怖を伴います。

■ 第5章:びっくりするほど地味な真実の可能性

一方で、最も可能性が高く、そして最も拍子抜けする結論もあります。

それは・・・

「3I/ATlASは、ただの自然天体である」

極端な形状も、奇妙な加速も、未知の物理や化学で説明がつく。 そして数十年後には、 「当時は議論が過熱していたね」 と教科書の脚注に追いやられる。

しかし、ここにこそ重要なポイントがあります。

人類は、未知に出会うたびに「物語」を作る、という事実です。

宇宙船説が否定されても、 その過程で ・観測技術は進歩し ・理論は洗練され ・宇宙への想像力は拡張される

つまり、3I/ATlASが何であれ、それは人類の思考を一段階先へ運ぶ触媒になるのです。

■ 第6章:本当に怖い話――私たち自身の姿が映るとき

最後に、いちばん怖い話をしましょう。

それは、3I/ATlASそのものではありません。

それを見て、 ・過剰に恐れ ・過剰に期待し ・過剰に意味を求める

私たち自身の姿です。

宇宙船であってほしい。 何か特別なメッセージを持っていてほしい。 人類の孤独を否定してほしい。

そう願う心が、科学と想像の境界を曖昧にします。

しかし同時に、その心こそが、人類をここまで導いてきました。

夜空を見上げ、 「あれは何だろう?」 と問い続けた結果が、天文学であり、科学なのです。

■ おわりに:3I/ATlASは、すでに役目を果たしている

たとえ3I/ATlASが実在しなかったとしても。 あるいは、ただの氷と塵の塊だったとしても。

この名前が生んだ想像、議論、物語は、すでに十分に価値があります。

宇宙は広く、冷たく、そして無言です。

だからこそ私たちは、そこに言葉と意味を投げかけずにはいられない。

3I/ATlASとは、 「宇宙から来た物体」以上に、 「人類の想像力が作り出した鏡」なのかもしれません。

次に夜空を見上げたとき、 あなたは、ただの点光源の向こうに、 どんな物語を思い描くでしょうか。



「スキスピ!」編集部


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